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「建材製品中のアスベスト含有率測定方法(JIS A1481)」を考える

「JIS A1481」による定量分析

定量分析は、X線回折装置を用いて分析する。

X線回折装置に試料をセットする前に、前処理としてギ酸処理を施す。

「JIS A1481」による定量分析での定量下限値は、0.1重量パーセントである。

従来のX線回折装置での定量下限値は、1パーセントまたはそれ以下であり、X線回折装置そのものが改良されたわけではないので、「JIS A1481」による定量分析での定量下限値の設定は非常に厳しいことが予想される。

去年の「建材中の石綿含有率の分析方法(基安化発第0622001号)」が出されたころには、X線回折装置の定量下限値はせいぜい1パーセント程度であろうと言われていたことを考えると、本当に分析出来るのかと疑ってしまう。

分析装置と聞くと、「非常に精密で微量のものでも調べられるもの」と思ってしまうが、X線回折装置に限って言えば、「100個の玉のうち赤い玉が1個ある」ことが判別できるレベルの装置だということか・・。いや、1年で「1000個の玉のうち赤い玉が1個ある」ことが判別できるレベルまで進化した装置だった。しかし、装置の改良も無しで10倍もレベルアップ出来ようとは、誰一人考えなかったのではないだろうか。

このようなことから、「JIS A1481」による定量分析にあたっては、適用できる範囲が規定されている。

建材の原料の種類、ギ酸処理後の残渣率など、詳しくは「建材製品中のアスベスト含有率測定方法(JIS A1481)」を読むか分析機関にたずねるのが良いかと思う。

今後は分析機関の分析レベルによって、同じ建材を分析した結果が異なることも考えられる。

実際にそのようなケースも起こっている。→ケーススタディ EICネット環境Q&A質問ナンバー「No.12189」

また、筆者が見たり聞いたりした同様のケースも2・3件あり、依頼者にとってはその結果次第で多額の費用を負担しなければ撤去できないことになり、裁判に発展することもありそうである。

少し問題が違うが、今年の夏は各地の学校でアスベスト含有建材の除去工事等が多数行われたと思う。その中で筆者が係わっているある学校で起きた問題なのだが、

去年の秋頃に天井材の分析を、例の「日本作業環境測定協会」に出ている分析機関の一社に依頼し、クリソタイルとアモサイトが含有しているとの報告書を受け取った。

そのことを受け、予算付けをして今年の夏休みに除去工事を開始した。

さて、問題はこのあとに起きた。

天井材を除去していると、青っぽい繊維状のものが下地から出てきた。依頼者(担当者)は、最初の分析を依頼するときに自身で天井材を採取して、分析機関に分析依頼を出したのだが、それから時間も経ち記憶も薄らいでおり、何か採取したものとは違うもののように感じて、除去工事中であるにもかかわらず再度分析しようとした。その結果は?

アスベストに係わっている方なら既にお気付きとは思うが、見た目はまさにクロシドライト。

去年の分析結果ではクリソタイルとアモサイトで約50パーセントだが

クロシドライトを含む吹付け材としか見えない。

X線回折ピーク位置からは誰が見ても間違えることは無いだろう。ではなぜこのような間違いが起きたのか?一つには一度に多くの場所から採取したため、試料を取り違えてしまったケースである。専門の分析機関では、たえず多数の試料を取り扱うことに慣れているため、試料を取り違えるケースは非常に少ないと思う。

しかし、通常業務でこのようなことをしていない依頼者側担当者では、試料の取り違えは起こりうる問題である。

また、試料の採取方法の問題もある。

事前調査方法を記した各種の書籍等では、建材を採取するときには必ず表面だけではなく、厚み全体を採取するように記されているが実際には建材によっては取りにくい場合も有り、表面だけを採取することもあるようである。

その結果、間違った分析結果に基づいて処理をすることが無いように願うだけである。

ところで、この例にあった学校だが再度分析することは思い止まったようである。万一、分析結果と現状が違ったとしてもアスベスト含有建材であることには変わらず、除去工事そのものは適正に行われているのだから。

定性分析は、こちらから

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